村上 泰亮 (2005/10/30)

　　おそらくは、これまでの殆どすべての思想は使い果たされた。


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　　歴史の問題に背を向けている間に、

　　最も粗雑なタイプの歴史主義が

　　思想の弾み（モメンタム）の主導権を握りはしないか。

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　　人間は、良く言えばもっと自由なものであり、

　　悪く言えばもっと始末のつかない存在だという感覚は、

　　私から去ったことがない。

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　　思想とは、現実の生のさまざまな可能性に相対したとき、

　　個々の人間がとる「構え」であり、

　　その構えの普段の立て直しである。

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　　言行不一致にあたって

　　自らのインテグリティを取り戻す努力がなければ、

　　是認にせよ、否認にせよ、

　　思想はない。

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　　自分の中のインテグリティの欠如を棚に上げて、

　　みせしめのための悪人を選び出す「世論の正義」ほど

　　思想に縁遠いものはない。

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　　各国のマスコミは、

　　自国人の解釈枠組に合うように情報をつまみ食いして、

　　見たいものを見させ、読みたいを読ませている。

　　この国別に定食化された知識のメニューの

　　枠を突破することはきわめて難しい。

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　　日本人論が成立するのは、

　　非日本人の日本に対する理解、

　　日本人の海外についての理解が薄かったために起こった

　　一時期の現象だろう。